槌《せえづち》を貸しねえ、打毀《ぶっこわ》して見せるから」
 恒「面白い、毀してみろ」
 と恒太郎が腹立紛れに才槌《さいづち》を持って来て、長二の前へ投《ほう》り出したから、お政は心配して、
 政「あれまアおよしよ、酔ってるから堪忍おしよ」
 恒「酔ってるかア知らねえが、余《あんま》りだ、手前《てまえ》の腕が曲るから毀してみろ」
 兼「若《わけ》え親方……腹も立とうが姉《あね》さんのいう通り、酔ってるのだから我慢しておくんなせえ、不断|此様《こん》な人じゃアねえから、私《わっち》が連れて帰って明日《あした》詫に来ます……兄い更けねえうちに帰《けえ》ろう」
 と長二の手を取るを振払いまして、
 長「何ヨしやがる、己《おら》ア無宿《やどなし》だ、帰《けえ》る所《とこ》アねえ」
 と云いながら才※[#「てへん+二点しんにょうの「追」」、第4水準2−13−38]を取って立上り、恒太郎の顔を見て、
 長「今打き毀して見せるから其方《そっち》へ退《ど》いていなせい」
 と才槌を提《ひっさ》げて、蹌《よろ》めく足を蹈《ふ》みしめ、棚の側へ摺寄って行灯《あんどう》の蔭になるや否や、コツン/\と手疾《て
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