二の前に置きました。
清「どうだ長二……この遠州透《えんしゅうすかし》は旨いだろう、引出の工合《ぐあい》なぞア誰にも負けねえ積りだ、これ見ろ、此の通りだ」
と抜いて見せるを長二はフンと鼻であしらいまして、
長「成程|拙《まず》くアねえが、そんなに自慢をいう程の事もねえ、此の遣違《やりちげ》えの留《とめ》と透《すかし》の仕事は嘘だ」
兼「何だと、コウ兄い……親方の拵《こせ》えたものを嘘だと、手前《てめえ》慢心でもしたのか」
長「馬鹿をいうな、親方の拵えた物だって拙いのもあらア、此の棚は外見《うわべ》は宜《い》いが、五六年経ってみねえ、留が放《はな》れて道具にゃアならねえから、仕事が嘘だというのだ」
恒「何だと、手前《てめえ》父さんの拵えた物ア才槌《せえづち》で一つや二つ擲《なぐ》ったって毀《こわ》れねえ事ア知ってるじゃアねえか」
長「それが毀れる様に出来てるからいけねえのだ」
恒「何うしたんだ、今夜は何うかしているぜ」
長「何うもしねえ、毎《いつ》もの通り真面目な長二だ」
恒「それが何故父さんの仕事を誹《くさ》すのだ」
長「誹す所があるから誹すのだ、論より証拠だ、才
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