ばや》く二槌《ふたつち》ばかり当てると、忽ち釘締《くぎじめ》の留は放れて、遠州透はばら/″\になって四辺《あたり》へ飛散りました。

        二十三

 言葉の行掛《ゆきがゝり》から彼《あ》アはいうものゝよもやと思った長二が、遠慮もなく清兵衛の丹誠を尽した棚を打毀《ぶちこわ》しました。且《かつ》二つや三つ擲《なぐ》ったって毀れる筈のない棚がばら/\に毀れたのに、居合わす人々は驚きました。中にも恒太郎は長二が余りの無作法に赫《かっ》と怒《いか》って、突然《いきなり》長二の髻《たぶさ》を掴んで仰向に引倒し、拳骨で長二の頭を五つ六《む》つ続けさまに打擲《ぶんなぐ》りましたが、少しもこたえない様子で、長二が黙って打《ぶ》たれて居りますから、恒太郎は燥立《いらだ》ちて、側に落ちている才槌を取って打擲ろうと致しますに、お政が驚いて其の手に縋《すが》りついて、
 政「あれまア危ないからおよしよ、怪我をさせては悪いからサ兼松……速く留めておくれ」
 兼「まアお待ちなせえ、其様《そん》な物で擲っちア大変だ」
 と止めるのを恒太郎は振払いまして。
 恒「なに此の野郎、ふざけて居やがる、此の才槌《せ
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