吐《ぬ》かしやアがると打《たゝ》き擲《なぐ》るぞ」
 兼「何が生意気だい、兄い/\と云やア兄いぶりアがって、手前《てめえ》こそ生意気だ」
 と互に云いつのりますから、恒太郎が兼松を控えさせまして、
 恒「コウ長二、それじゃアおとなしくねえ、手前《てめえ》が居なくなったッて兼が心配《しんぺい》しているのに、悪体《あくてえ》を吐《つ》くのア宜《よ》くねえ、酔っているかア知らねえが、此処《こゝ》で其様《そん》なことをいっちゃア済むめえぜ」
 長「えゝ左様《そう》です、私《わっち》が悪かったから御免なせえ」
 恒「何も謝るには及ばねえが、聞きゃア手前《てめえ》家《うち》を仕舞ったそうだが、何処《どけ》え行く積りだ」
 長「何処《どけ》へ行こうとお前《めえ》さんの知った事《こッ》ちゃアねえ」
 と上目で恒太郎の顔を見る。血相《きっそう》が変っていて、気味が悪うございますから、恒太郎が後逡《あとじさり》をする後《うしろ》に、最前から様子を見て居りました恒太郎の嫁のお政《まさ》が、湯呑に茶をたっぷり注《つ》いで持ってまいりました。

        二十二

 政「長さん、珍しく今夜は御機嫌だねえ…
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