附けあがり、途方もねえ言いがゝりをして金にする了簡だな、其様《そん》な事に悸《びく》ともする幸兵衞じゃア無《ね》えぞ……えゝ何をするんだ、放せ、袂が切《きれ》るア、放さねえと打擲《ぶんなぐ》るぞ」
と拳を振上げました。
長「打《ぶ》つなら打ちなせえ、お前《めえ》さんは本当の親じゃアねえか知らねえが、お母《っか》さんは本当のお母さんだ……お母さん、何故|私《わっち》を湯河原へ棄てたんです」
とお柳の傍へ進もうとするを、幸兵衛が遮《さえぎ》りながら、
幸「何をしやアがる」
と云いさま拳固で長二の横面《よこつら》を殴りつけました。そうでなくッても憎い奴だと思ってる所でございますから、長二は赫《かっ》と怒《いか》りまして、打った幸兵衛の手を引《ひ》とらえまして、
長「打《ぶ》ちゃアがったな」
幸「打たなくッて泥坊め」
長「何だと、何時己が盗人《ぬすっと》をした」
幸「盗人だ、此様《こん》な事を云いかけて己の金を奪《と》ろうとするのだ」
長「金が欲《ほし》いくれえなら、此の金を持って来《き》やアしねえ、汝《うぬ》のような義理も人情も知らねえ畜生の持った、穢《けがら》わしい金は
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