たゞ》して、確《たしか》に相違|無《ね》えと思うところへ、お二人で尋ねて来てくだすったのは、親子の名告《なのり》をしてくんなさるのかと思ったら、そうで無えから我慢が出来ず、私の方から云出したのが気に触ったのか、但しは無慈悲を通す気か、気違だの騙りだのと人に悪名《あくみょう》を付けて帰《けえ》って行くような酷《むご》い親達から、金なんぞ貰う因縁が無えから、先刻《さっき》の五十両を返《けえ》そうと捷径《ちかみち》をして此処《こゝ》に待受け、おもわず聞いた今の話、もう隠す事ア出来ねえだろう、お母さん、何うかお前《めえ》さんに云い難《にく》い事があるかア知りませんが、決して他《ひと》には云わねえから、お前《めえ》を産んだお母《ふくろ》だといってくだせい……お願いです……また旦那は私の本当のお父《とっ》さんか、それとも義理のお父さんか聞かしてくだせい」
 と段々幸兵衞の傍《そば》へ進んで、袂に縋る手先を幸兵衛は振払いまして、
 幸「何をしやアがる気違|奴《め》……去年谷中の菩提所で初めて会った指物屋、仕事が上手で心がけが奇特《きどく》だというので贔屓にして、仕事をさせ、過分な手間料を払ってやれば
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