、兼松が一人で待ってますから」
 柳「親方御免よ、生憎また持病が発《おこ》って」
 長「お大事《でえじ》になさいまし……左様なら」
 と急いで宅へ帰りましたが、考えれば考えるほど、幸兵衛夫婦が実の親のようでありますから、それから段々二人の素性を探索いたしますと、お柳は根岸辺に住居していた物持|某《なにがし》の妻《さい》で、某が病死したについて有金《ありがね》を高利に貸付け、嬬暮《やもめぐら》しで幸兵衛を手代に使っているうち、何時か夫婦となり、四五年前に浅草鳥越へ引移って来たとも云い、又|先《せん》の亭主の存生中《ぞんしょうちゅう》から幸兵衞と密通していたので、亭主が死んだのを幸い夫婦になったのだとも云って、判然《はっきり》はしませんが、谷中の天竜院の和尚の話に、何故《なにゆえ》か幸兵衞が度々《たび/″\》来て、長二の身の上は勿論|両親《ふたおや》の素性などを根強く尋ねるというので、彼是を思い合すと、幸兵衛夫婦は全く親には違いないが、無慈悲の廉《かど》があるので、面目なくって今さら名告《なの》ることも出来ないから、贔屓というを名にして仕事を云付け、屡々《しば/″\》往来《ゆきゝ》して親し
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