》さんを置いて、独身で本所|〆切《しめきり》[#「〆切」に校注、「枕橋の架してある堀の奥のところ」、ただし底本では校注が脱落、底本の親本にて確認]に世帯《しょたい》を持って居りましたが、何ういうものですか弟子を置きませんから、下働きをする者に困り、師匠の末の弟子の兼松《かねまつ》という気軽者を借りて、これを相手に仕事をいたして居りますところが、誰《たれ》いうとなく長二のことを不器用長二と申しますから、何所《どこ》か仕事に下手なところがあるのかと思いますに、左様《そう》ではありません。仕事によっては師匠の清兵衛より優れた所があります。是は長二が他の職人に仕事を指図するに、何《なん》でも不器用に造るが宜《い》い、見かけが器用に出来た物に永持《ながもち》をする物はない、永持をしない物は道具にならないから、表面《うわべ》は不細工《ぶざいく》に見えても、十百年《とッぴゃくねん》の後までも毀《こわ》れないように拵えなけりゃ本当の職人ではない、早く造りあげて早く銭を取りたいと思うような卑しい了簡で拵えた道具は、何処《どこ》にか卑しい細工が出て、立派な座敷の道具にはならない、是は指物ばかりではない、画
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