い塩梅に拵えてもらいたいもんじゃ」
と種々話をしかけますから長二は帰ることが出来ません、其の内に幸兵衛は参詣をしまい戻って来て、
幸「毎月|墓参《はかまいり》をいたしたいと思いますが、屋敷家業というものは体が自由になりませんので、つい不信心《ぶしん/″\》になります」
和「お忙しいお勤めではなか/\寺詣りをなさるお暇はないて、暇のある人でも仏様からは催促が来《こ》んによって無沙汰勝になるもので」
幸「まア左様いう塩梅で……二月《ふたつき》ばかり参詣をいたさんうちに御本堂が大層お立派になりました、彼《あ》の左の方にある経机は何方《どちら》からの御寄附でございますか、彼様《あん》な上作《じょうさく》は是まで見ません、余《よっ》ぽど良い職人が拵《こしら》えた物と見えます」
和「あの机かな、あれは此処《こゝ》にござる此の方の御寄附じゃて」
幸「へい左様《さよう》ですか……これは貴方《あなた》御免なさい……へい初めてお目にかゝります、私《わたくし》は幸兵衛と申す者で……只今承まわれば彼の経机を御寄附になったと申すことですが、あれは何処《どこ》の何《なん》と申す者へお誂《あつら》えにな
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