》い無《ね》いというと、男の方では月イ勘定すると一月《ひとつき》違うから己の児じゃア無《ね》い、顔まで好《よ》く彼奴《あいつ》に似ていると云うと、女は腹ア立って、一月ぐれえは勘定を間違《まちげ》える事もあるもんだ、お前《めえ》のように実《じつ》の無《ね》いことを云われちゃア苦労をした効《けい》がねい、私《わし》イもう彼《あ》の家《うち》に居ねい了簡だから、此の児はお前《めえ》の勝手にしたが宜《え》えと孩児を男の方へ打投《ぶんな》げたと見えて、孩児が啼《な》くだアね、其の声で何を云ってるか聞えなかったが、何でも男の方も腹ア立って、また孩児を女の方へ投返すと、女がまた打投げたと見えてドッシン/\と音がアして、果《はて》にア孩児の声も出なくなって、死ぬだんべいと思ったが、外の事《こッ》てねえから魂消ているうち、ぐず/\口小言を云いながら夫婦とも眠《ね》てしまった様子だったが、翌日《あくるひ》の騒ぎが大変さ」
 長「フム、どういう騒ぎだッたね」
 婆「これからお前《めえ》さんの背中の穴の話になるんだが、此の前《めえ》江戸から来た何《なん》とか云った落語家《はなしか》のように、こけえらで一節《ひ
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