根《まゝね》の湯、下《しも》の湯、南岸《みなみぎし》の湯、川原《かわら》の湯、薬師《やくし》の湯と七湯《しちとう》に分れて、内湯を引いた宿が多くなりました。湯の温度は百六十三度|乃至《ないし》百五度ぐらいで、打撲《うちみ》金瘡《きりきず》は勿論、胃病、便秘、子宮病、僂麻質私《りょうまちす》などの諸病に効能《きゝめ》があると申します。西は西山、東は上野山、南は向山《むこうやま》、北は藤木山《ふじきやま》という山で囲まれている山間《やまあい》の村で、総名《そうみょう》を本沢《ほんざわ》と申して、藤木川、千歳川《ちとせがわ》などいう川が通っております。此の藤木川の流《ながれ》が、当今静岡県と神奈川県の境界《さかい》になって居ります。千歳川の下《しも》に五所《ごしょ》明神という古い社《やしろ》があります。此の社を境にして下の方《かた》を宮下村《みやしたむら》と申し、上《かみ》の方を宮上村と申すので、宮下の方《ほう》は戸数八十|余《あまり》、人口五百七十ばかり、宮上村は湯河原のことで、此の方は戸数三十余、人口二百七十ばかりで、田畑が少のうございますから、温泉宿の外は近傍《もより》の山々から石を切
前へ
次へ
全165ページ中28ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング