「長二郎親の仇討《あだうち》一件|今日《こんにち》にて落着、一同立ちませい」
これで此の事件は落着になり、玄石と茂二作夫婦は八丈島へ遠島になって、玄石は三年目に死去し、茂二作夫婦も四五年の内に死去いたしたのは天罰、斯《か》くあるべき筈でございます。さて長二郎は死罪を覚悟で駈込訴えをいたしました処、もとより毛筋程《けすじほど》も悪心のないのは天道様が御照覧になって居りますから、筒井様のお調べ、清兵衛のお慈悲願いから、林大學頭様の御理解等にて到頭実父の復讐《かたきうち》となり、御褒美を戴いた上、計らず大身代《おおしんだい》の龜甲屋を相続いたす事になりまして、公儀から指物|御用達《ごようたし》を仰付けられましたので、長二郎は名前を幼名の半之助と改め、非業に死んだ実父半右衞門と、悪人なれど腹を借りた縁故により、お柳の菩提を葬《とむら》うため、紀州の高野山へ供養塔を建立《こんりゅう》し、また相州足柄郡湯河原の向山の墓地にも、養父母のため墓碑を建てゝ手厚く供養をいたしました。右様《みぎよう》の事がなくとも、長二郎の名は先年林大學頭様の折紙が付いた仏壇で、江戸中に響き渡りました処、又今度林大學頭様
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