になって後《のち》死んだ時、子上のためには実母でありますが、忌服《きふく》を受けさせませんから、子思の門人が聖人の教《おしえ》に背くと思って、何故《なにゆえ》に忌服をお受けさせなさらないのでございますと尋ねましたら、子思先生の申されるのに、拙者の妻《さい》であれば白のためには母であるによって、無論忌服を受けねばならぬが、彼は既に離縁いたした女で、拙者の妻でないから、白のためにも母でない、それ故に忌服を受けさせんのであると答えられました、礼記の記事は悪人だの人殺《ひとごろし》だのという事ではありませんが、道理は宜く合っております、ちょうど是《こ》の半右衞門が子思の所で、子上が長二郎に当ります、お柳は離縁にはなりませんが、女の道に背き、幸兵衞と姦通いたしたのみならず、奸夫と謀《はか》って夫半右衞門を殺した大悪人でありますから、姦通の廉《かど》ばかりでも妻たるの道を失った者で、半右衞門がこれを知ったなら、妻とは致して置かんに相違ありません、然《さ》れば既に半右衞門の妻では無く、離縁したも同じ事で、離縁した婦《おんな》は仮令《たとえ》無瑕《むきず》でも、長二郎のために母で無し、まして大悪無道、
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