そ》かに喜んで、長二郎の罪科御裁断の儀に付き篤《とく》と勘考いたせし処、唐土《もろこし》においても其の類例は見当り申さざるも、道理において長二郎へは御褒美の御沙汰《ごさた》あって然るびょう存じ奉つると言上いたされましたから、家齊公には意外に思召され、其の理を御質問遊ばされますと、大學頭様は五経の内の礼記《らいき》と申す書物をお取寄せになりまして、第三|巻《がん》目の檀弓《だんぐう》と申す篇の一節《ひとくだり》を御覧に入れて、御講釈を申上げられました。こゝの所は徳川将軍家のお儒者林大學頭様の仮声《こわいろ》を使わんければならない所でございますが、四書《ししょ》の素読《そどく》もいたした事のない無学文盲の私《わたくし》には、所詮お解りになるようには申上げられませんが、或方《あるかた》から御教示を受けましたから、長二郎の一件に入用《いりよう》の所だけを摘《つま》んで平たく申しますと、唐の聖人孔子様のお孫に、※[#「にんべん+及」、116−6]《きゅう》字《あざな》は子思《しゝ》と申す方がございまして、そのお子を白《はく》字《あざな》は子上《しじょう》と申しました、子上を産んだ子思の奥様が離縁
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