まぐれ中《あた》りで、命門に達したものと見えて、半右衞門は苦痛もせず落命いたしましたから、お柳と幸兵衞は大《おおき》に喜び、玄石の技術《うでまえ》を褒めて約束の通り金百両を与えて、堅く口止をいたし、茂二作夫婦にも幾許《いくら》かの口止金を与えて半右衞門を病死と披露して、谷中の菩提所へ埋葬《とりおき》をいたしたと逐一旧悪を白状に及びましたので、幸兵衞お柳の大悪人ということが明白になり、長二郎は図らず実父半右衞門の仇《あだ》幸兵衞を殺し、敵討をいたした筋に当りますが、悪人ながらお柳は実母でございますから、親殺しの廉《かど》は何うしても遁《のが》れることは出来ませんので、町奉行筒井和泉守様は拠《よんどこ》ろなく、それ/″\の口書《こうしょ》を以て時の御老中の筆頭|土井大炊頭《どいおおいのかみ》様へ伺いになりましたから、御老中|青山下野守《あおやましもつけのかみ》様、阿部備中守《あべびっちゅうのかみ》様、水野出羽守《みずのでわのかみ》様、大久保加賀守《おおくぼかゞのかみ》様と御評議の上、時の将軍|家齊《いえなり》公へ長二郎の罪科御裁許を申上げられました。この家齊公と申すは徳川十一代の将軍にて、
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