と》に遊んで居らんければ他《た》からでも御才覚を願いたい、利分は天引でも苦しゅうないによって」
 由「ハア、それは貴方のことですから、才覚が出来さいすれば何《ど》の様にも骨を折って見ましょうが、何分今が今と云っては心当りが」
 玄「其処《そこ》を是非とも願うので」
 と根強く掛合込《かけあいこ》みまして、お由にはなか/\断りきれぬ様子でありますから、茂二作は一旦脱いだ羽織を引掛《ひっか》け、裏口から窃《そっ》と脱出《ぬけだ》して表へ廻り、今帰ったふりで門口を明けましたから、お由はぬからぬ顔で、
 由「おや大層早かったねえ」
 茂「いや、これは岩村先生……まことにお久しい」
 玄「イーヤお帰りですか、意外な御無音《ごぶいん》、実《じつ》に謝するに言葉がござらんて」
 茂「何うなさったかと毎度お噂をして居りましたが、まアお変りもなくて結構です」
 玄「ところがお変りだらけで不結構《ぶけっこう》という次第を、只今|御内方《ごないほう》へ陳述いたして居《お》るところで、実に汗顔《かんがん》の至りだが、国で困難をして出府いたした処、頼む樹陰《こかげ》に雨が漏るで、龜甲屋様の変事、進退|谷《きわ》
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