まったので已むを得ず推参いたした訳で、老人を愍然《びんぜん》と思召して御救助を何うか」
 茂「成程、それはお困りでしょうが、当節は以前と違って甚《ひど》い不手廻りですから、何分心底に任しません」
 と金子を紙に包んで、
 茂「これは真《ほん》の心ばかりですが、草鞋銭と思って何うぞ」
 と差出すを、
 玄「はい/\実に何とも恐縮の至りで」
 と手に受けて包をそっと披《ひら》き、中を見て其の儘に突戻しまして、
 玄「フン、これは唯《たっ》た二百|疋《ぴき》ですねえ、もし宜く考えて見ておくんなさい」
 茂「二分では少いと仰しゃるのか」
 玄「左様《さよう》さ、これッばかりの金が何になりましょう」
 茂「だから草鞋銭だと云ったのだ、二分の草鞋がありゃア、京都へ二三度行って帰ることが出来る」
 玄「ところが愚老の穿《は》く草鞋は高直《こうじき》だによって、二百疋では何うも国へも帰られんて」
 茂「そんなら幾許《いくら》欲《ほし》いというのだ」
 玄「大負けに負けて僅《わず》か百両借りたいんで」

        三十六

 由「おやまア呆れた」
 茂「岩村さん、お前とんでもねえ事をいうぜ、何で百
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