た。
由「おや/\岩村《いわむら》さんで、お久しぶりでございますこと」
玄「誠に意外な御無音《ごぶいん》をいたしたので、併《しか》し毎《いつ》も御壮健で」
と拇指《おやゆび》を出して、
玄「御在宿かな」
というは正《まさ》しく合力《ごうりょく》を頼みに来たものと察しましたから、
由「はい、今日は生憎《あいにく》留守で、マアお上んなさいな」
と口には申しましても、玄石が腰を掛けて居《お》る上《あが》り端《ばた》へ、べったりと大きなお尻《いど》を据《す》えて居りますから、玄石が上りたくも上ることが出来ません。
玄「へい何方《どちら》へお出でゞす、もう程のう御帰宅でしょう」
由「いゝえ此の頃親類が災難に遭《あ》って、心配中で、もう少し先刻《さっき》其の方へ出かけましたので、私《わたくし》も是れから出かけようと、此の通り今着物を着替えたところで、まことに生憎な事でした、お宿が分って居りますれば明日《みょうにち》にも伺わせましょう」
玄「はい、宿と申して別に……実に御承知の通り先年郷里へ隠遁をいたした処、兵粮方《ひょうろうかた》の親族に死なれ、それから已《やむ》を得ず再び玄関
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