奉「それに相違ないか」
茂「相違ございません」
奉「確《しか》と左様か」
茂「決して偽りは申上げません」
奉「然らば追って呼出すまで、茂二作夫婦とも旅行は相成らんぞ、町役人共左様に心得ませい……立ちませい」
是にて此の日のお調べは済みました。
三十四
奉行は吟味中お由の口上で、図らずお柳の懐妊の年月《ねんげつ》が分ったので、幸兵衛が龜甲屋へ出入を初めた年月《としつき》を糺《たゞ》すと、懐妊した翌月《よくつき》でありますから、長二は幸兵衛の胤《たね》でない事は明白でございますが、お柳は実母に相違ありませんから、まだ親殺しの罪を遁《のが》れさせることは出来ません。是には奉行も殆《ほと》んど当惑して、最早長二を救うことは出来ぬとまで諦められました。
由「私《わたし》ア本当に命が三年ばかし縮まったよ」
茂「男でさえ不気味だもの、其の筈だ」
由「大屋さんは平気だねえ」
茂「そうサ、自分が調べられるのじゃアないからの事《こっ》た、此方《こち》とらはまかり間違えば捕縛《ふんじば》られるのだから怖《おっ》かねえ」
由「今日の塩梅じゃア心配しなくっても宜《い》
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