れるから、先へ帰れと仰しゃいましたから、私《わたくし》はお新造より先へ帰りました」
奉「柳の実家《さと》と申すは何者じゃ、存じて居《お》るか」
茂「へい八王子の千人同心だと申す事でございますが、家《うち》が死絶《しにた》えて、今では縁の伯母が一人あるばかりだと申すことでございますが、私《わたくし》は大横町《おおよこちょう》まで送って帰りましたから、先の家《うち》は存じません」
奉「其の方の外に一緒にまいった者は無いか」
茂「はい、誰《たれ》も一緒にまいった者はございません」
奉「黙れ、其の方は上《かみ》に対し偽りを申すな、幸兵衛も同道いたしたであろう」
茂「へい/\誠にどうも、宅《うち》からは誰《だれ》も外にまいった者はござりませんが、へい、アノ五宿《ごしゅく》へ泊りました時、幸兵衛が先へまいって居りまして、それから一緒にヘイ、つい古い事で忘れまして、まことにどうも恐入りました事で」
奉「フム、左様《さよう》であろう、して、柳は幾日《いくか》に出て幾日に帰宅をいたしたか存じて居ろう」
茂「へい左様……正月二十八日に出まして、あのう二月の二十日頃に帰りましたと存じます」
前へ
次へ
全165ページ中137ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング