が目くばせで止めましたから、慌てゝ咳払いに紛らし、
由「いゝえ、あの私《わたくし》は存じません」
奉「隠すな、隠すと其の方の為にならんぞ、奉行は宜《よ》く知って居《お》るぞ、幸兵衛が障子の張替えなどに度々まいったであろう」
由「はい、まいりました」
奉「左様《そう》であろう、して、幸兵衛が其の方の宅に居った時は経師職はいたさなんだと申す事じゃが、其の方共の家業の手伝でもいたして居ったのか、何うじゃ」
由「へい、証文を書いたり催促や何かを致して居りました」
奉「ムヽ、それでは貸附金の証文の書役《しょやく》などを致して居ったのじゃな、して其の貸付金は誰《たれ》の金《きん》じゃ」
茂「それは、へい私《わたくし》の所持金で」
奉「余ほど多分に貸付けてある趣じゃが、其の方|如何《いかゞ》して所持いたし居《お》るぞ、これは多分何者か其の方どもの[#「どもの」は底本では「もどの」と誤記]実体《じってい》なるを見込んで、貸付方を頼んだのであろう、いや由、何も怖がることは無い、存じて居《お》ることを真直《まっすぐ》に申せばよいのじゃ」
三十三
由「はい、その金《かね
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