先《せん》の旦那|半右衛門《はんえもん》様が、御公儀の仕立物御用を勤めました縁で、私共も仕立職の方で出入をいたしましたので、へい」
奉「何歳の時から出入いたしたか」
茂「二十六歳の時から」
奉「当年何歳に相成る」
茂「五十五歳で」
奉「由は龜甲屋に奉公をいたせし趣《おもむき》じゃが、何歳の時奉公にまいった」
由「へい、私《わたくし》は十七の三月からでございますから」
と指を折って年を数え、
「もう廿八九年前の事でございます」
奉「其の後《ご》両人とも相変らず出入をいたして居ったのじゃな」
茂「左様でございます」
奉「して見ると其の方共|実体《じってい》に勤めて、主人の気に入って居ったものと見えるな」
由「はい、先《せん》の旦那様がまことに好《よ》いお方で、私共へ目をかけて下さいましたので」
奉「左様であろう、して柳と申す女は何時頃《いつごろ》半右衛門方へ嫁にまいったものか、存じて居ろうな」
茂「へい、私《わたくし》が奉公にまいりました年で、御新造《ごしんぞ》は其の時|慥《たし》か十八だと覚えて居ります」
奉「御新造とはお柳のことか」
茂「へい」
奉「し
前へ
次へ
全165ページ中131ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング