段々吟味の模様を考えますと、幸兵衛夫婦の身の上に怪しい事がありますから、これを調べたいと思召したが、夫婦とも死んで居ります事ゆえ、吟味の手懸りがないので、深く心痛いたされまして、漸々《よう/\》に幸兵衛が龜甲屋お柳方へ入夫《にゅうふ》になる時、下谷稲荷町の美濃屋茂二作《みのやもじさく》と其の女房お由《よし》が媒妁《なこうど》同様に周旋をしたということを聞出しましたから、早速お差紙《さしがみ》をつけて、右の夫婦を呼出して白洲を開かれました。
 奉行「下谷稲荷町|徳平店《とくべいたな》茂二作、並《ならび》に妻《さい》由、其の他名主、代組合の者残らず出ましたか」
 町役「一同差添いましてござります」
 奉「茂二作夫婦の者は長年龜甲屋方へ出入《でいり》をいたし、柳に再縁を勧め、其の方共が媒妁《なかだち》をいたして、幸兵衛と申す者を入夫にいたせし由じゃが、左様《さよう》か」
 茂「へい左様でございます」
 由「それも私共《わたくしども》が好んで致したのではございません、拠《よんどころ》なく頼まれましたので」
 奉「如何なる縁をもって其の方共は龜甲屋へ出入をいたしたのか」
 茂「それはあの龜甲屋の
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