お武家と商人《あきんど》とは縁組が出来ません、拠所《よんどころ》なく縁組をいたす時は、其の身分に応じて仮親を拵《こしら》えますことで、商人と職人の間にも身分の分《わか》ちが立って居りました、殊に身柄のある商人はお武家が町人百姓を卑しめる通り、職人を卑しめたものでございますから、島路は長二郎を不足のない男とは思って居りますが、物の道理を心得て居《お》るだけに、此の御沙汰を断ったのでございます。殿様は元来|左様《そう》いう思召《おぼしめし》ではなく、只此の場の話を紛らせようと、戯れ半分に仰しゃったお言葉が本当になったので、取返しがつかず、困っておられた処へ、島路が御沙汰止を願いましたから、これを幸いに、
和「おゝ、何も身が無理に左様《そう》いうのではない、左様いうことなら今の話は止《や》めにするから、島路大儀じゃが下物《さかな》に何か一つ踊って見せい」
と踊りの御所望《ごしょもう》がございましたから、女中達は俄に浮き立ちまして、それ/″\の支度をいたし、さア島路さん、早くと急《せ》き立てられて、島路は迷惑ながら一旦其の席を引退《ひきさが》りまして、斯様《かよう》な時の用心に宿から取寄せ
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