春野「島路さん、何をお考え遊ばします、願ってもない御前様の御意、私《わたくし》なら直《すぐ》にお受けをいたしますのに、お年がお若いせいか、ぐず/\して」
常夏「春野さんの仰しゃる通り、此の様な有難い事はござんせぬ、それとも殿御の御器量がお錠口《じょうぐち》の金壺《かねつぼ》さんのようなら、私《わたくし》のような者でも御即答は出来ませんが、その長二郎さんという方は役者のような男だと御前様が仰しゃったではござりませぬか」
千草「そのうえお仕事が江戸一番の名人で、お金が沢山儲かるとの事」
早咲「そればかりでも結構すぎるに、お心立が優しくって、きりゝと締った所があるとは、嘘のような殿御振り、お話を承わりましたばかりで私《わたくし》はつい、ホヽ……オホヽヽヽ」
と女中達のはしたなきお喋りも一座の興でございます。
三十一
殿様は御機嫌よろしく打笑《うちえ》まれまして、
和「どうじゃ島路、皆の者は話を聞いたばかりで彼様《かよう》に浮れて居《お》るに、其方は何故《なぜ》鬱《ふさ》ぐのじゃ」
と退引《のっぴき》のならんお尋ねを迷惑には思いましたが、此の所で一言《いちご
前へ
次へ
全165ページ中126ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング