される仔細が分りませんから、奥方が不審に思われまして、
 島「御前様、その長二郎とか申す者のことをお聞き遊ばして、如何《いかゞ》遊ばすのでござります」
 と尋ねられたので、殿様は長二郎を助ける手段もあろうかとの熱心から、うか/\島路に根問いをした事に心付かれましたが、お役向の事を此の席で話すわけにも参りませんから、笑いに紛らして、
 和「何サ、その長二郎と申す者は役者のような美《よ》い男じゃによって、島路が懸想でもして居《お》るなら、身が助七に申聞けて夫婦《みょうと》にしてやろうと思うたのじゃ」
 と一時の戯《たわむれ》にして此の場の話を打消そうと致されましたのを、女中達は本当の事と思って、羨ましそうに何《いず》れも島路の方《かた》へ目を注ぎますので、島路は羞《はず》かしくもあり、又思いがけない殿様の御意に驚き、顔を赧《あか》らめて差俯《さしうつむ》いて居りますを、奥方は気の毒に思召して、
 「如何《いか》に御前様の御意でも、こりゃ此の所では御挨拶が成りますまいのう島路」
 と奥方にまで問詰められて、島路は返答に困り、益々顔を赧くしてもじ/\いたして居りますと、女中達は羨ましそうに、

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