を致して粗相をした、免《ゆる》せ……其方《そち》に尋ねる事があるが、其方も存じて居《お》るであろう、其方の家へ出入をする木具職の長二郎と申す者は、当時江戸一番の名人であると申す事を、其方の父から聞及んで居るが、何ういう人物じゃ、職人じゃによって別に取※[#「てへん+丙」、第4水準2−13−2]《とりえ》はあるまいが、何ういう性質の者じゃ、知らんか」
 との御意に、島路は予《かね》て長二が伎倆《うでまえ》の優れて居《お》るに驚いて居るばかりでなく、慈善を好む心立《こゝろだて》の優しいのに似ず、金銭や威光に少しも屈せぬ見識の高いのに感服して居ります事ゆえ、お尋ねになったを幸い、お邸《やしき》のお出入にして、長二を引立てゝやろうとの考えで、
 島「お尋ねになりました木具職の長二郎と申します者は、親共が申上げました通り、江戸一番の名人と申す事で、其の者の造りました品は百年経っても狂いが出ませず、又何程|粗暴《てあら》に取扱いましても毀れる事がないと申すことでございます、左様な名人で多分な手間料を取りますが、衣類などは極々《ごく/″\》質素で、悪遊びをいたさず、正直な貧乏人を憐れんで救助するのを
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