つ》な職人に指させたくないと思って、職人を捜して居りました処、親方はお心掛が潔白で、指物にかけては京都の利齋当地の清兵衛親方にも優《まさ》るという評判を聞及びましたから、此の仕事をお願い申したいので、手間料には糸目をかけません、何うぞ私《わたくし》が先祖への孝行にもなる事でございますから、この絵図面を斟酌《しんしゃく》して一骨《ひとほね》折ってはくださるまいか」
 と仏壇の絵図面を見せますと、長二は寸法などを見較べまして、
 長「成程随分難かしい仕事ですが、宜《よ》うがす、此の工合《ぐあい》に遣《や》ってみましょう…だが急いじゃアいけませんよ、兎も角も板を遣《よこ》してお見せなさい、板の乾き塩梅《あんばい》によっちゃア仕事の都合がありますから」
 助「はい、承知いたしました……そんなら明朝《みょうあさ》板をよこすことに致しましょう……えゝ是は少のうございますが、御注文を申した印までに上げて置きます」
 と金子を十五両鼻紙に載せて差出しますを、長二は宜《よ》く見もいたさずに押戻しまして、
 長「板をよこして注文なさるんですから手金なんざア要《い》りません、出来上って見なければ手間も分りま
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