なく身の上を話して、背中の疵を見せると、お柳が驚いて癪《しゃく》を発した様子などを考えると、お柳は自分を産んだ実の母らしく思えるより、手を廻して幸兵衛夫婦の素性を探索すると、間違いなさそうでもあり、また幸兵衛が菩提所の住持に自分の素性を委《くわ》しく尋ねたとの事を聞き、幸兵衛夫婦も自分を実子と思っては居《お》れど、棄児にした廉《かど》があるから、今さら名告《なの》りかね、余所《よそ》ながら贔屓にして親しむのに相違ないと思う折から、去る九日《こゝのか》の夕方《ゆうかた》夫婦して尋ねて来て、親切に嫁を貰えと勧め、その手当に五十両の金を遣るというので、もう間違いはないと思って、自分から親子の名告をしてくれと迫った処、お柳は顕《あら》われたと思い、恟《びっく》りして逃出そうとする、幸兵衛は其の事が知れては身の上と思ったと見え、自分を気違だの騙《かたり》だのと罵《のゝし》りこづきまわして、お柳の手を取り、逃帰ったが、斯様《こん》な人から、一文半銭たゞ貰う謂《いわ》れがないから、跡に残っていた五十両の金を返そうと二人を逐《おい》かけ、先へ出越して待っている押上堤で、図らずお柳の話を聞き正《まさ》し
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