に御処刑を受けようと思いましたが、仔細を云わなけりゃア気違だと仰しゃるから、致し方がございません、其の理由《わけ》を申上げますから、お聞取りをお願い申します」
とそれより自分の背中に指の先の入る程の穴があるのを、九歳《こゝのつ》の時初めて知って母に尋ねると、母は泣いて答えませんので、自分も其の理由を知らずにいた処、去年の十一月職人の兼松と共に相州の湯河原で湯治中、温泉宿へ手伝に来た婆さんから自分は棄児《すてご》であって、背中の穴は其の時受けた疵である事と、長左衛門夫婦は実《まこと》の親でなく、実の親は名前は分らないが、斯々云々《かく/\しか/″\》の者で、自分達の悪い事を掩《おお》わんがために棄てたのであるという事を初めて知って、実の親の非道を恨み、養い親の厚恩に感じて、養い親のため仏事を営み、菩提所の住持に身の上を話した時、幸兵衛に面会したのが縁となり、其の後《のち》種々《いろ/\》の注文をして過分の手間料を払い、一方《ひとかた》ならず贔屓にして、度々尋ねて来る様子が如何にも訝《おか》しくあり、殊に此の四月夫婦して尋ねて来た時、お柳が急病を発《おこ》し、また此の九月柳島の別荘で余儀
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