何でもてんでに稼ぐのが一番だ、稼いで親に安心をさせなさるが宜《い》い、私の体に何様《どん》な事があろうと、他人だから心配《しんぺい》なせいやすな……兼、手前《てめえ》とも最《も》う兄弟《きょうでい》じゃアねえぞ」
と云放って立上り、勝手口へ出てまいりますから、お政も呆れまして、
政「そんなら何うでもお前は」
長「もう参りません」
清「長二」
長「何《なん》か用かえ」
清「用はねい」
長「左様《そう》だろう、耄碌爺には己も用はねえ」
と表へ出て腰障子を手荒く締切りましたから、恒太郎は堪《こら》えきれず、
恒「何を云いやがる」
と拳骨《げんこ》を固めて飛出そうとするのを清兵衛が押止めまして、
清「打棄っておけ」
恒「だッて余《あんま》りだ」
清「いゝや左様でねえ、是には深い仔細《わけ》のある事だろう」
恒「何様な仔細があるかア知らねえが、父《とっ》さんの拵《こせ》えた棚を打《たゝ》き毀して縁切の書付を出すとア、話にならねえ始末だ」
清「それがサ、彼奴《あいつ》己の拵《こせ》えた棚の外から三つや四つ擲ったッて毀れねえことを知ってるから、先刻《さっき》打擲《ぶんな
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