で一番親方思いと云われたお前が、此様な事になるとは私にはさっぱり訳が分らないよ」
二十五
政「恒兄に擲《ぶ》たれたのが腹が立つなら、私が成代《なりかわ》って謝るからね、何だね、子供の時から一つ処《とこ》で育った心安だてが過ぎるからの事だよ、堪忍おしよ、お父さんもお年がお年だから、お前でもいないと良人《うちのひと》が困るからよ、お父さんへは私がお詫をするから、長さんマアちゃんとお坐んなさいよ、何うしたのだねえ」
と涙を翻《こぼ》してなだめまする信実に、兼松も感じて鼻をすゝりながら、
兼「コウ兄い、いま姉《あね》さんもいう通りだ、親方の恩は大抵の事《こっ》ちゃアねえ、それを知らねえ兄いでもねえに、何うしたんだ、何《なん》か人にしゃくられでもしたのか、えゝ、姉さんが心配《しんぺい》するから、おい兄い」
長「お政さん御親切は分りやしたが、弟子師匠の縁が切れてみりゃア詫言《わびこと》をする訳もねえからね、人は老少不定《ろうしょうふじょう》で、年をとった親方いゝや、清兵衛さんより私《わっち》の方が先へ往《い》くかも知れませんから、他《ひと》を当《あて》にするのア無駄だ、
前へ
次へ
全165ページ中104ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング