の長二も驚き、まご/″\する兼松に目くばせをして、其の辺に飛散っている書棚の木屑を片付けさせながら、
長「へい、これはどうも恐入りました、此の通り取散かしていますが、何卒《どうぞ》此方《こちら》へ」
と蓆《ござ》の上の鉋屑を振《ふる》って敷直しますから、助七は会釈をして其処《そこ》へ坐りました。
三
助「御高名は予《かね》て承知していましたが、つい掛違いまして」
長「私《わたくし》もお名前は存じて居りますが、用がありませんからお目にかゝりませんでした、シテ御用と仰しゃるのは」
助「はい、お願い申すこともございますが先刻のお詫をいたします……三吉……そこへ出てお詫をしろ」
三吉は不承々々な顔付で上り口に両手をつきまして、
三「親方さん先刻《さっき》は口上を間違えまして失礼を致しました、何卒《どうか》御免なさい」
とお辞儀をいたしますを、長二は不審そうに見ておりましたが、[#「、」は底本では「。」]
長「へい何《なん》でしたか小僧さん、何も謝る事アありません……えゝ旦那……先刻《さっき》お迎いでしたが、出ぬけられませんからお断り申したんで」
助「それ
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