《つ》れていくと、六|畳《でふ》の座敷《ざしき》を借切《かりき》つてゐると、火鉢《ひばち》はここへ置《お》くよ、烟草盆《たばこぼん》も置《お》くよ、土瓶《どびん》も貸《か》してやる、水指《みづさし》もこゝに有《あ》るは、手水場《てうづば》へは此処《こゝ》から往《い》くんだ、こゝへ布巾《ふきん》も掛《か》けて置《お》くよ、この戸棚《とだな》に夜具《やぐ》蒲団《ふとん》もあるよと何《なに》から何《なに》まで残《のこ》らず貸《か》して下《すだ》すつてよ、往《い》つた当座《たうざ》だから療治《れうぢ》はないや、退屈《たいくつ》だらうと思つて岩田屋《いはたや》の御夫婦《ごふうふ》が来《き》て、四方山《よもやま》の話をして居《を》ると、松《まつ》が傍《そば》で土瓶《どびん》をひつくりかへして灰神楽《はいかぐら》を上《あ》げたから、気《き》を附《つ》けろ、粗忽《そこつ》をするなつて他人《ひと》さまの前《まへ》だから小言《こごと》も云《い》はうぢやアねえか、すると彼奴《あいつ》が己《おれ》にむかツ腹《ぱら》ア立《た》つて、よく小言《こごと》をいふ、兄振《あにいぶ》つたことを云《い》ふな、己《おれ》が手
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