、門口《かどぐち》へ突立《つツた》つたなり物も云《い》ひません。女房「おやお前《まへ》お帰《かへ》りか。梅「い……今|帰《かへ》つたよ。女房「おや何《ど》うしたんだね、まア何《ど》うも余《あんま》り早いぢやアないか、浜《はま》へ往《い》つて直《す》ぐに帰《かへ》つて来《き》たの。梅「直《す》ぐにたツて居《ゐ》られねえもの、どうも幾許《いくら》居《ゐ》たくつても居《ゐ》られません、あまり馬鹿馬鹿《ばかばか》しくつて口惜《くや》しいたツて口惜《くや》しくねえたツて耐《たま》らないもの……。と鼻息《はないき》荒《あら》く思ふやうに口もきけん様子。女房「何《ど》うしたんだねえ、まア何《なん》だね。梅「何《ど》うしたつて、フン/\あの松《まつ》ン畜生《ちくしやう》め……。女房「松《まつ》さんが何《ど》うしたんだえ。梅「彼奴《あいつ》が、己《おれ》を置去《おきざ》りにして先へ帰《けへ》りやアがつたが、岩田屋《いはたや》さんは親切だから此方《こつち》へ来《き》な、浜《はま》は贔屓強《ひいきづえ》えから何《なん》でも来《き》ねえと仰《おつ》しやるので、他《ほか》に手曳《てひき》がねえから松《まつ》を連
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