を曳《ひ》いてやらなけりやア何処《どこ》へも往《い》かれめえ、御飯《おまんま》の世話《せわ》から手水場《てうづば》へ往《い》くまで己《おれ》が附《つ》いてツてやるんだ、月給《げつきふ》を取るんぢやアなし、何《な》んぞと云《い》ふと小言《こごと》を云《い》やアがる、兄《あにき》もねえもんだ、兄《あにき》(狸《たぬき》)の腹鼓《はらつゞみ》が聞いて呆《あき》れると吐《ぬか》しやアがるから、やい此《こ》ン畜生《ちくしやう》、手前《てめえ》は懶惰者《なまけもん》でべん/\と遊んでゐるから、何処《どこ》へ奉公《ほうこう》に遣《や》つたつて置いてくれる者もないから、己《おれ》が養《やしな》つて置くからには、己《おれ》の手を曳《ひ》くぐらゐは当然《あたりまい》だ、何《なに》を云《い》やアがるつて立上《たちあが》つて戸外《そと》へ出たが、己《おれ》も眼《め》が見えないから追掛《おつか》けて出ても仕様《しやう》はなし、あんな奴《やつ》にまで馬鹿《ばか》にされると腹を立つのを、岩田屋《いはたや》の御夫婦《ごふうふ》が心配して、なに松《まつ》さんだつて家《うち》へ帰《かへ》れば姉《あね》さんに小言《こごと》
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