2]転《につころ》がしで一猪口《いつちよこ》出ました。小「さ、お喫《た》べよ、お前《まへ》の目《め》が開《あ》いて芽出度《めでた》いからお祝《いは》ひだよ、私《わたし》がお酌《しやく》をして上《あ》げよう……お猪口《ちよこ》は其処《そこ》に有《あ》らアね。梅「へえゝ是《これ》がお猪口《ちよこ》……ウンナ……手には持慣《もちつ》けて居《ゐ》ますが、巧《うま》く出来《でき》てるもんですな、ヘヽヽ、是《これ》はお徳利《とくり》、成程《なるほど》此《こ》ン中《なか》からお酒《さけ》が出るんで、面白《おもしろ》いもんですな。小「何《なん》だよ、猪口《ちよこ》の中へ指を突《つ》つ込《こ》んでサ、もう眼《め》が開《あ》いて居《ゐ》るから、お酒《さけ》の覆《こぼ》れる気遣《きづか》ひはないは。梅「へゝゝ不断《ふだん》やりつけてるもんですから……(一|口《くち》飲《の》んで猪口《ちよこ》を下に置き)有難《ありがた》う存《ぞん》じます、どうも……。小「冷《さめ》ない中《うち》にお吸《す》ひよ、お椀《わん》を。梅「へえ是《これ》がお椀《わん》で……お箸《はし》は……これですか、成程《なるほど》巧《うま》く出
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