…(彼方《あちら》此方《こちら》を見廻《みまは》す)女「何《なん》だよう、私《わたし》が先刻《さつき》から見てゐると、お前《まへ》がこゝを往《い》つたり来《き》たりしてえるが、眼《め》が開《あ》いて居《ゐ》るから能《よ》く似《に》た人が有《あ》ると思《おも》つてゐたら、矢張《やつぱり》梅喜《ばいき》さんなんだよ、ま何《ど》うしたえ。梅「へえ、今日《けふ》眼《め》が開《あ》きました。女「眼《め》が開《あ》いたえ……だから馬鹿《ばか》には出来《でき》ないものだよ、本当《ほんたう》に神《かみ》さまの御利益《ごりやく》だよ、併《しか》しまア見違《みちが》へるやうな好《い》い男《をとこ》になつたよ。梅「へえ、あなたは何処《どこ》のお方《かた》で。女「いやだよ、大概《たいがい》声《こゑ》でも知れさうなもんだアね、小春《こはる》だよ。梅「え……小春姐《こはるねえ》さんで、成程《なるほど》……美《うつく》しいもんですなア。小春「いやだよ、大概《たいがい》におし。梅「へゝゝお初《はつ》にお目《め》に懸《かゝ》りました。小春「何《なん》だね、お初《はつ》ウなんて。梅「いえ、お顔を見るのはお初《はつ》ウで。
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