に、水菓子屋《みづぐわしや》だ。梅「へえゝ……あ彼処《あすこ》に在《あ》る円《まアる》いものは何《なん》です、かう幾《いく》つも有《あ》るのは。近「あれは密柑《みかん》だ。梅「あの色は何《なん》と云《い》ふんです。近「黄色《きいろ》いてえのだ。梅「へえゝ……密柑《みかん》には異《ちが》つたのが有《あ》りますなア、かう細長《ほそなが》いやうな。近「フヽヽあれは乾柿《ころがき》だ。梅「乾柿《ころがき》、へえゝ彼《あれ》は。近「第一の銀行よ。梅「成程《なるほど》噂《うはさ》には聞いて居《を》りましたが立派《りつぱ》なもんですね……あれは。近「橋だ、鎧橋《よろひばし》といふのだ。梅「へえゝ立派《りつぱ》な物《もん》ですね何《ど》うも……あの向うへ往《い》きますのは女《をんな》ぢやアございませんか。近「然《さ》うよ。梅「へえゝ女《をんな》てえものは綺麗《きれい》なものですなア、男《をとこ》が迷《まよ》ふな無理もありませんね。近「あれは何処《どこ》かの権妻《ごんさい》だか奥《おく》さんだか知れんが、人柄《ひとがら》で別嬪《べつぴん》だのう。梅「へえゝ綺麗《きれい》なもんですなア、私共《わたしども》
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