で使用《つかっ》た金はありゃア何処《どこ》から持って来た金だ」
 勘「むゝ、彼《あれ》ア、…バ……」
 伴「何を愚図/\言って居やアがるんだえ」
 勘「へい、何《な》んで、賭博《ばくち》に勝ちましたので」
 伴「なにー、博賭《ばくち》に勝ったと、馬鹿ア云え、汝《てめえ》の様なケチな一文賭博をする奴が古金《こきん》で授受《とりやり》をするかえ、有体《ありてい》に申上げろ」
 勘「マ、全く博賭に勝ったに違《ちげ》えござえません」
 伴「何処《どこ》の博賭場で勝ったんだ」
 勘「ムヽ、カ、カ、神田の牧《まき》様の部屋で何《な》んしまして、小川町《おがわまち》の土屋《つちや》の……」
 伴「黙れ、尋常に申し上げろい、幾ら隠したって役にア立たねえから、何処で盗んだか云えよ」
 勘「いえ全く其のカ、カ、勝ったんで」
 伴[#「伴」は底本では「勘」と誤記]「これ勘次、汝《てめえ》其様《そん》な事を愚図/\云ったって役にゃア立たねえ早く云っちめえ」
 勘「いえ……その…全く勝ったんで」
 伴「云わねえな、何うしても此奴《こいつ》ア云わねえから打《ぶ》て/\」
 ○「お慈悲深い旦那だから本当の事を喋って
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