《ばくち》に勝ったと被仰《おっしゃ》います」
と聞いて内証では何《ど》うも様子が訝《おか》しい、知ってる人だから朝勘定でも宜《い》いんだが、金の遣振りが訝しいから宵勘定に下げて貰え。と下《さが》った金を見ますると三星《みつぼし》の刻印が打って有る、是は予《かね》て巡達《じゅんたつ》に成って居《お》る処の不正金でございますから、
亭主「是は打棄《うっちゃっ》ちゃア置《おか》れない、直《す》ぐに……」
と云うので、是から其の頃の御用聞を呼びまして此の事を話すと石子伴作《いしこばんさく》様と云う定巡《じょうまわ》りの旦那が、
伴「夫《それ》は手附かずに出すが宜《い》い」
と云うので、二日|流連《いつゞけ》をさせて緩《ゆっ》くり遊興をさせ、充分金を遣わせて御用聞と話合いの上で、ズッと出る処を大門|外《そと》で、
○「御用」
勘「ハッ……」
と云って恟《びっく》りする、大抵な者は御用聞が御用と云う声を掛けるとペタペタとなるといいます。直《すぐ》に縛られて田町の番屋へ引かれる、仕様の無いものでございます。
○「勘次|汝《てめえ》の身分にしちゃア金遣いが滅法に暴《あら》えが、桔梗屋
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