て居ると威張るね…いや然《そ》んな事を云うと彼《あ》の娘《こ》が驚いて愛想をつかすといけねえから…なに構わない向うは歳を老《と》って居るから威《おど》して先の家《うち》へねじ込んで仕舞えば然《そ》んならばと云うので、手切れに成る」
 女「何《なん》だえお前、何でも無いのに手切れが取れるものかね」
 勘「今はまだ何でもありませんが今に成るねえ、併《しか》し然う喧《やかま》しく掛合ってもあの子が心配をするから、其処《そこ》は旨く話合いにして百両取るよ、然うしたら私《わっち》は質から出したい着物がある、そうなるとお前さんに芝居を奢りますね」
 女「勘次お前気が違ったのかよ」
 勘「だって本気です、七輪の火がおこらねえが」
 女「其の筈よ猫の尻を煽《あお》いでるぜ」
 勘「シヽヽ猫め彼方《あっち》へ行《ゆ》け、是れは恐れ入った、姐《ねえ》さん今に煮えたら直《すぐ》に持って行きましょう」
 と交々《かわる/″\》近所の者がお菜《さい》を持って往《ゆ》きますから、喰物《たべもの》に不自由はないが肝心のお米と炭薪などは買わなければなりません、段々に冬に成る程詰って参り、遂には明日《あす》のお米を買っ
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