又というので無理に振り払って帰るね、二度目に通る時に又おつな扮装《なり》をして今度は此方《こっち》から声を掛けると、まア上ってお呉んなさいと引張り込んでお茶を入れる、家《うち》に酒も附いて居るから一寸お一つ召し上れと私の酒好きを知っているから、気が付く子だから酒を出す、これは済みませんねえ、旦那は毎晩お出でなさるかと聞くと、いゝえ毎晩は来ません通い番頭で年を老《と》って居ますから、月に漸く三度位しきゃア来ません、時々遊びに参っても宜うございますか、宜いどころじゃアありません、どうぞ始終遊びに来て下さい、姐《ねえ》さんはお壮健《たっしゃ》ですかとお前さんを聞くよ、情愛があるから……それから屡々《ちょく/\》遊びに行って何時も御馳走に成って済まないと偶《たま》には何か奢ってやるね、度々《たび/\》行く様に成るとそこは阿漕《あこぎ》の浦に引網《ひくあみ》とやらで顕《あらわ》れずには居ない、其の番頭が愚図/\云うに違いない、然《そ》うすると私が依怙地《えこじ》に成って何を云やアがる此方《こっち》じゃア元より一つ長屋に居たんだ、確乎《ちゃん》と約束がある女だ、誰《たれ》に断って此の女を慰み者にし
前へ
次へ
全134ページ中76ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング