を私《わっち》が通り掛ったら、何《ど》うだろう」
 女「誰《だ》れが」
 勘「私《わっち》さ、扮装《なり》を拵《こしら》えるね此様《こん》な扮装《いでたち》じゃアいけないが結城紬《ゆうきつむぎ》の茶の万筋《まんすじ》の着物に上へ唐桟《とうざん》の縞《らんたつ》の通し襟の半※[#「※」は「ころもへん+(纒−糸)」、535−10]《はんてん》を引掛《ひっか》けて白木《しろき》の三尺でもない、それより彼《あ》の子は温和《おとなし》い方が好きですかねえ、草履より駒下駄を履いて前を通りましょうお筆さんが見ると屹度声をかけますよ、おや勘次さん、おや姉《ねえ》さんお宅は此処《こゝ》ですかえ、はア斯《こ》んな処へ来ました、まアおよんなさいよお茶を飲《あが》って行ってお呉んなさいよと先方《むこう》で云うに違いない、義理堅い娘《こ》だから、水や何か汲んでもらった廉《かど》があるからお上《あが》んなさいましよと云うねえ、此処で私《わっち》が旦那でもお在《い》でだとお邪魔に成るからと云うと、いゝえ誰も居ませんから、まアお上んなさいましよと手を取って引張るね、寄りたいけれども其の時ゃア私は我慢して、何《いず》れ
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