ち》の娘に成って下さい、まア然んな不自由もさせないから、お前を貰って堅い養子を貰いたいが、私の子に成って何うか死水《しにみず》とって貰いたい、築地のお家主にも話を仕ようが、どうか得心して下さいな」
 妻「私《わたくし》も然う思って居ますよ、ねえ姉さん此の儘にずるずるベッタリ家《うち》の娘に成ってお呉れなら養子をして安心を致しますから、何卒《どうぞ》然うして貰い度《と》うございます」
 孫「まア女は女どしだからお前の処へ連れて行って緩《ゆっく》り話をしなさい」
 妻「はい、さアお前|此方《こちら》へお出で」
 と孫右衞門の妻が是から次の間へ連れて行って種々《いろ/\》娘に迫るから義理にも厭《い》やとは言われません。
 筆「はい、いずれ考えまして御挨拶を申しましょう」
 と云う内に参りましたのは築地の家主金兵衞で、
 家「御免下さい」
 奉公人「誰方《どなた》だえ」
 家「築地小田原町の町役人山田金兵衞と申す者で」
 奉「入《いら》っしゃいまし、此方《こちら》へお上《あが》りなすって何うか、旦那小田原町のお家主金兵衞|様《さん》が入っしゃいました」
 孫「おゝ夫《それ》はまア、此方へどうか
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