きり》我子《わがこ》と思いましたが、顔を見れば違っているから、実は落胆《がっかり》しましたが、娘を持つ親の心持は同じ事で、嘸《さぞ》お前さんの親御も案じてお在《い》でだろうから、何事も打明けて仰しゃいまし」
と親切に言われて、お筆は唯泣いて居りました。
四[#「四」は底本では「三」と誤記]
お筆は漸々《よう/\》顔を上げまして、
筆「御親切は有難う存じますが、是には深い訳がございまして、親共に顔向の出来ない事で、何卒《どうぞ》お見逃し下さい、親共は堅い気性でございまして、此の儘帰れば手打に相成ります、それも厭《いと》いませんが却《かえ》って憖《なまじ》い立腹をさせるよりは今|一思《ひとおも》いに死んだ方が宜いと存じますから……」
孫「そんな解らん事を云って困るよ、お父《とっ》さんが手打にするというのは夫《それ》はほんの嚇《おど》しで、能く然《そ》んな事をいう者だが、私共のような者でも一人娘が時々心得違いの事でもあると、只《たった》一人の娘でも叩き出すというが、お侍が手打にするというのと同じ事で、決して本当に手打にしたり、叩き出したり出来る訳の者ではない……こ
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