《や》る事もあらア」
梅「お戯《ふざ》けでないよあのお店《たな》から酒の下物《さかな》にしろって台所の金藏《きんぞう》さんが持って来た物があるよ」
喜「彼奴《あいつ》め下物だって鮭の頭位だろう、あゝ有難い持つべきものは女房か、有難いな、何《ど》うしたっても好《い》い酒は四方《よも》へ行かなければ無《ね》えな」
とクビーリ/\飲んで居る、其の時店先へ立止りました武士《さむらい》は、ドッシリした羅紗《らしゃ》の脊割羽織《せわりばおり》を着《ちゃく》し、仙台平《せんだいひら》の袴《はかま》、黒手《くろて》の黄八丈《きはちじょう》の小袖《こそで》を着《き》、四分一|拵《ごしら》えの大小、寒いから黒縮緬の頭巾を冠《かぶ》り、紺足袋《こんたび》日勤草履《にっきんぞうり》と云う行装《こしらえ》の立派なお武士、番太郎の店へ立ち、
武「これ此処《こゝ》に有る紙を一帖《いちじょう》呉れんか」
喜「へいお入来《いで》なさいまし是は何うも御免なさいまし、誠に有難う、其処《そこ》に札が附いてます、一帖幾らとして有りますへい半紙は二十四文で、駿河《するが》半紙は十六文、メンチは十個《とお》で八文でげす、
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