ございますから、本当に能く亭主の看護を致して、嗜《すき》な物を買って置き、
 梅「寒いから一杯お飲《た》べかえ、沢山飲むといけないよ、二合にしてお置よ、三合に成ると少し舌が廻らなくなる、身体に障《さわ》るだろうと思って案じられるから」
 喜「うむ寒いな、霜月に這入ってからグッと寒く成った何《ど》うしても寒くなると飲まずにゃ居られねえな」
 梅「寒いたって、寒い訳だよ、朝から飲んでるからもう酔い醒《ざめ》のする時分だからさ、町代《まちだい》の總助《そうすけ》さんが来て余り酒を飲ましちゃアいけない、あれでは身体が堪《たま》るまいと被仰《おっしゃ》って案じておいでだよ、皆様《みなさん》が御贔屓《ごひいき》だから然《そ》う云って下さるんだよ」
 喜「もう是れ限《ぎ》り飲まねえから、よう宜《い》いからもう一本|燗《つ》けなよ」
 梅「燗けなってお酒が無いんだよ」
 喜「無けりゃア買って来ねえな、おい」
 梅「もう今日はこれだけにしてお置きな」
 喜「熱い時分ならそれで宜いが、寒い時分には二合じゃア足りねえ、ようお前《めえ》能く己《おれ》の面倒を見て可愛がって呉んな、其の代り己がお前を可愛がって遣
前へ 次へ
全134ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング