子を捜し大川筋を尋ねさせましたが知れません、今七草粥を祝おうと箸を取って、喰《たべ》に掛ると表をバラバラ人が通り、
○「何《ど》うした/\」
□「浪除杭《なみよけぐい》に打付《ぶっつ》かった溺死人《どざえもん》は娘の土左衛門で小紋の紋付を着て紫繻子の腹合せの帯を締めて居る、好《い》い女だが菰《こも》を船子《ふなこ》が掛けてやった」
△「行って見ろ/\」
金兵衞も清左衞門も之を聞くと等しく慌てゝ茶椀と箸を持《もっ》たなりで戸外《おもて》へ飛出したから見物人は驚きました。
○「何を丼鉢《どんぶりばち》を振廻すのだ」
清「そ其の土左衛門は何処に居ります」
金「旦那土左衛門は何処に居ります」
○「何を為《し》やアがるんだ、見ねえ、どうも気違《きちげ》えだ、人に飯を打掛《ぶっか》けて」
金「何《なん》と心得て居る、町役人《ちょうやくにん》だぞ、ど何処だ/\」
○「土左衛門へは船子が菰を掛けてやって、ブッカリ/\彼方《あっち》へ流れて行きました」
と云われて両人は気脱《きぬけ》のした様になり箸と茶椀を持ったなりで帰って来て、
清「はあー娘は面目ないので身を投げたか」
金「
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