す、其の娘と手習朋輩で前々《まえ/\》懇意に致した事が有りますが、手紙の贈答《やりとり》を致すと云う事を聴いて居ましたが夫《それ》へは多分参りますまいと思います」
金「だから何処か行きそうな処は有りませんか」
清「中番町《なかばんちょう》で外村金右衞門《とのむらきんえもん》と云う是はその直参《じきさん》と申しても小普請《こぶしん》で居ります、母方の縁類と云う訳でも何《なん》でも有りませんが極《ごく》別懇に致しまして、両度程連れて行《ゆ》きましたが夫へは多分参りますまい」
金「だから何処か行きそうな処は有りませんか」
清「谷中《やなか》日暮《ひぐらし》に瑞応山《ずいおうざん》南泉寺《なんせんじ》と云う寺が有ります、夫に宮内健次郎《みやのうちけんじろう》と云う者が居ますが、夫へは多分参りますまい」
金「行かない処ばかり云っては困る」
清左衞門は唯おど/\して何処を探そうと云う目途《めあて》もなく心配致して居ります。翌朝《よくちょう》に成って、
金「清左衞門さん私《わし》の家《うち》へお出《いで》なさい、一緒に七草粥を祝おうじゃアないか」
と云うので是から諸方へ手分けをして迷
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